実践講座実践編第3回 「問題発見能力と問題解決能力」

例えば、私が息子の図工の宿題を手伝うために電気ドリルを買いたいとします。

おそらく10年前なら、東急ハンズに行ったでしょう。

そこで、電気ドリル売り場に行き、日曜大工担当の販売員と話をします。

そこで、勧められた製品に納得すれば、そのまま購入するでしょう。

でも、今は違います。

インターネットが世界を変えました。

「価格ドットコム」というホームページで、電気ドリルを調べてみてください。

一瞬で、247種類の電気ドリルのリストが出てきます。

そこには全ての製品の性能、値段、口コミなどが書いてあります。

そして、気に入ったものがあれば、そこからネットで注文ができます。

だから、

「いらっしゃいませ、どんなドリルをお探しですか?」

この様なことを言う販売員はもう、店に必要がなくなっています。

ドリルを買うということが決まっている人に、各ドリルのスペック、値段を説明することは、人間よりインターネットのほうが得意です。

この、ドリルを買う客に、各ドリルのスペック、値段を説明する能力は、

「問題解決能力」

と言い換えることができます。

インターネットの検索サイト「Yahoo」、「Google」は、問題がきちんと定まっている人にとっては非常に便利なツールです。

インターネットはある意味で「問題解決能力」の達人といえるでしょう。

では、販売員はもう必要なくなってしまったのでしょうか?

そんなことはありません。

なぜなら、多くの人は、そもそも解決すべき問題を取り違えている事がしばしばあるからです。

たとえば、東急ハンズにこのような事をいってくれる販売員がいたらどうでしょうか。

「いらっしゃいませ、どんなことでお困りですか?」

「実は、息子の宿題を手伝わなくてはならなくて。」

「なるほど、つまり、貴方の本当の目的は、「ドリルを買うこと」ではなく、「息子さんの図工の工作の手伝いをすること」ですね。」

「そうです、私の本当の目的は、図工の宿題の本棚を作るために、板に穴をあける事です。」

「普段日曜大工をなさいますか?」

「私は普段日曜大工はしません。」

「ならば、ドリルを使うのは1回限りになる可能性が高いです。

 もし、これから板もお買いになるのであれば、となりの木工制作部で板を買いませんか?

 穴あけサービスがついてきます。」

この「どんなことでお困りですか?」から始まるカウンセリングをする力は、

「問題発見能力」

と言い換えることができます。

この「問題発見能力」を持った人がこれからの東急ハンズに求められる販売員だといえます。

本当の問題点を取り違えたまま、問題解決を行おうとする人があまりにも多すぎます。

その結果、不必要なドリルを買ってしまったり、ドリルの使い方が悪くて、板への穴あけが失敗したり、怪我をしてしまったりして、本当の問題が解決しないのです。

「問題解決能力」は非常に優れているが、「問題発見能力」が劣っている人が非常に多いのは、栄養療法の世界でも同じです。

みんな、「私の体がおかしいのは、栄養素が足りないせい」だと決めつけています。

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「栄養不足が根本原因で、それを直せば病気が治る」

と信じて疑わない人が多いです。

原因が他にあるかもしれないのに、他の原因を調べようともせず、毎日、両手いっぱいのサプリメントを摂取している人も少なくありません。

栄養療法だけでなく、代替医療を受けている患者さんにはこのような傾向の人が非常に多いです。

代替医療の方法論には、なにかしら呪縛のようなものが在るのでしょうか。

様々な副腎疲労のサプリメントを試しているのに、なおらないAさん。

結局、原因は腸内環境不全でした。

腸の炎症が強いために、副腎がはたらかされっぱなしなのです。

腸の炎症は吸収不良を引き起こすので、大量のサプリメントはかえって、腸内異常発酵を引き起こしていたのでした。

私の経験では、栄養療法は、問題に対しての治療方針が間違っていなければ、多くとも3ヶ月でなんらかの改善の兆しが見えてきます。

逆に言えば、3ヶ月でなんの改善も見られなければ、「本当の原因を取り違えていないだろうか?」と考えを巡らすべきです。

「腸内環境改善」、「重金属や化学物質の蓄積」、「隠れた感染症」

本当の原因がひとたびわかってしまえば、ネットで検索をするだけでも多くの治療のヒントがみつかります。

しかし、元々の原因の把握ができなければ、それらはすべて空回りです。

いや、かえって気づかないで放置する分、元病は悪化する事も多いのです。

一番重要な事は「解決すべき本当の問題を発見する」ことなのです。

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私がブログやメール講座で、

「知られざる病気の原因としてこんな者があるよ」

というと、

「もしかして、私当てはまるかもしれない」

と皆さん思うようですが、それは往々にして、外れている場合が多いです。

もしくは複合原因の一つのみであることが多いです。

だから、自分で調べて、本を読んでやってもうまく行かない事もある。

このように、

「本当の問題を取り違えているとき」

「はっきり把握していないとき」

 あるいは

「皆目検討がつかないとき」

アドバイザーの助けは大いに役立ちます。

但し、それは、

「どんなドリルをお探しですか?」ではなく、

「どんなことでお困りですか?」と言ってもらえるアドバイザーに限りますが。

以上から、私は栄養療法に本当に必要な能力は、「問題解決能力」もさることながら、「問題発見能力」ではないかと考えています。

栄養療法に関して、この「問題発見能力」を身につける方法は2つです。

1番は俯瞰力を見につけること。

・細胞と臓器、全身を常に見てください。

・患者さんの現実と、分子栄養学理論を行き来してください。

・患者さんの言ったことをそのまま鵜呑みにせず、果たしてそのとおりなのか、その前提が本当なのかを確認してください。

・常に反対の方向からも見てください。

2番目は、問題をリスト化して、順番に当たっていくことです。

これをすることで、もれなく、ダブりなく、問題について考えをめぐらすことが出来ます。

もういちど、リオルダン先生考案のこの「本当の原因」発見リストを眺めてみてください。

IDENTIFY THE CAUSES

Infection 感染  ウイルス、細菌、真菌の過剰増殖はしばしば隠れている。

Digestion 消化  胃酸分泌不良、消化酵素分泌不全、腸内フローラ不全

Emotions 感情   非常に問題で、さらに不健康な関連を引き起こす

Nutrients 栄養   栄養不良、吸収不良、または代謝的なブロック

Toxins 毒    鉛、水銀などの重金属、残留農薬、除草剤など

Inflamation 炎症 「○○炎」を引き起こす慢性的な引き金、食習慣

Foods 食事  隠れた食事の悪影響が臓器のダメージ、食物依存症を引き起こす

You 貴方  貴方の決断が貴方の病気に与える影響がわからないという思い込み

Thyroid dysfunction 通常の検査では検出する事ができない甲状腺機能異常

Hypoglycemia 低血糖 炭水化物、糖質、インスリン、その他のホルモン分泌不全などが関わる

Endocrine disorders ホルモンの分泌異常、分泌不全が加齢、機能不全を引き起こす

Candida overgrowth  過剰な抗生剤、ステロイド、砂糖、ストレス

Adrenal Fatigue 副腎疲労、副腎機能低下 低血糖、病気や人生への負担などが原因

Underactivity 自分の能力を十分鍛えないこと「使わなければ駄目になる」

Stress or spiritual critis  不必要な活動でいっぱいになってしまうこと;無意味

Enviromental 環境  満たされない、機能しない、むしろ害のある家庭、仕事、遊びの場

Structural 構造   肉体的、精神的、感情的な要素の不一致、不整合が痛みや機能障害を引き起こす

次回は、「私の考える提案力について」です。

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