脂質

目次

一般的に、常温で液体の物を「油」や固体のものを「脂肪」と呼び分けており、これらをまとめて油脂と呼ぶ。我々は、様々な動植物から「油脂」を食物として取り入れている。

油脂は化学構造的には、グリセリンに脂肪酸が3つ結合したトリグリセリドの形態をとる事が多い。

健康診断における血中TG(トリグリセライド)は、血液中のトリグリセリド濃度を測定している。

脂も油、どちらも化学組成は同じ(C,H,O)であり、グリセリンに結合している脂肪酸の化学構造が性質を決めている。

・脂肪油(常温で液体)
サラダ油
コーン油
大豆油
こめ油(米糠油)
アマニ油
オリーブオイル

・脂肪(常温で固体)
ピーナッツバター
パーム油
ラード(豚脂)
バター

脂肪酸の種類と構造、働き

脂肪酸は長い炭化水素(炭素Cと水素Hだけからできている)にカルボン酸(COOH)が結合した化学構造をとっている。

脂肪酸の性質は、この炭化水素の長さ、二重結合の数、そして二重結合の位置によって決まる。

脂肪酸の働きには大きく分けて「エネルギー貯蔵」「細胞膜の形成」「生理活性物質」の3つがあるが、脂肪酸の構造によって適している働き方がある。

炭化水素の長さ(炭素数)

一般的に、炭素数2-4個のものを短鎖脂肪酸、5-12個のものを中鎖脂肪酸、12個以上のものを長鎖脂肪酸と呼ぶ。

人は糖質は1500kcalしか貯蔵できないが、脂質は10万kcal蓄える事ができる。

エネルギーを蓄えるという観点からは長鎖脂肪酸が向いているが、利用するという観点からは中鎖脂肪酸の方が使われやすい。

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二重結合の数

脂肪酸は、二重結合の数によって大きく性質が異なる。

二重結合は結合部の可動性を広げ、脂肪酸同士の間により多くの隙間をつくる。
よって、これがない脂肪酸を多く含む脂肪は固体(ココナッツオイル、牛脂など)になり、二重結合が多い脂肪酸を多く含む油は液体(オリーブオイル、エゴマ油など)となる。

二重結合がないものを飽和脂肪酸、二重結合がひとつのものを一価不飽和脂肪酸、二重結合を2つ以上含むものを多価不飽和脂肪酸と呼ぶ。

また、二重結合の部分は酸化の影響を受けやすい。二重結合を多く含む多価不飽和脂肪酸は酸化の影響が特に強いため、加熱調理には向かない。

べに花油は組成の70%以上が二重結合を2つ持つリノール酸である。その一方、ラードに含まれるステアリン酸、パルミチン酸は両者とも二重結合がない飽和脂肪酸である。

揚げる、炒めるなどの調理には、サラダ油でなく、ラードやココナッツオイル、オリーブオイルなどが望ましい。

二重結合の位置

メチル基側から数えて何番目に二重結合があるかによっても脂肪酸の性質は大きく異なる。二重結合が左から3番目ならω3系、6番目ならω6系、9番目ならω9系脂肪酸と呼ぶ。

飽和脂肪酸のパルチミン酸
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不飽和脂肪酸のオレイン酸
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不飽和脂肪酸のリノール酸
炭素の二重結合が6番目から始まっているのでオメガ6
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脂質の種類

脂質の種類としてはアルコールと脂肪酸だけからできる単純脂質(トリグリセリド、油脂)、リン酸などを含む複合脂質(リン脂質) 、上記2つから誘導される誘導脂質(ステロイド)などがある。

トリグリセリド

グリセリンというアルコールに脂肪酸が3つ結合したものでトリグリセリドの性質はどんな脂肪酸がどのくらい結合しているかによって決まる

リン脂質

細胞膜を構成する成分。トリグリセリドがグリセリンに3つの脂肪酸が結合しているがそのうち1つの脂肪酸をリン酸に入れ替えた構造をしている

リン酸コリンが親水性で脂肪酸が親油性だからリン脂質は水にも油にも溶けやすい両親媒精である

人の細胞膜の大部分はこのリン脂質から出来ている。疎水性の脂肪酸同士が向かい合わせになり膜の外側と内側に親水性のリン酸が並んだ二重膜を形成するため脂質二重層と呼ばれる。

細胞膜の働き

この細胞膜は大きく3つの働きがある

隔てる

細胞の外骨格としてはたらき、親油性の物質以外殆どの物質の通貨を遮り、細胞内の環境を保ってくれる(選択的透過性)細胞の中に物が入っていくためには細胞膜に存在する、専用の経路を通る必要がある。
また、排泄も同様です。

流動性を保つ

細胞膜は細胞内外への交通を保つため、細胞膜に存在する受容体の活性を保つため、常に複雑に動いている。そのためには膜に柔軟性が存在することが必要。二重結合が多い不飽和脂肪酸が多く結合しているリン脂質でできた細胞膜は柔軟性、流動買いが増すことになる。

また、脳神経細胞の細胞膜は他の神経細胞に対して樹状突起というネットワークを張り巡らせることで神経活動を保っているが、これは細胞膜がそのまま伸びたものである。脳は乾燥重量の60%が脂質からなるが、さらにそのうち20%を二重結合が5つあり、柔軟性に富んだDHAが占めている。

シグナル分子を分泌する

PLA2刺激を受けると不飽和脂肪酸がちぎれて、遊離して生理活性物質として働く。

エイコサノイドとプロスタグランジン代謝

ω3とω6の代謝

EPA,DHAに関するエビデンス

DHAがうつを抑制する
妊娠性うつ、小児のうつ
自殺リスクを減らす
攻撃性が減る
メカニズム
セロトニン合成、放出、受容体の活性化に関連
胎児は妊婦からDHAをもらう
妊娠時の魚油摂取の重要性
水銀の事を考えても魚を摂取している方が認知機能が高い
魚食と自閉症発症の関連は一般的に低い
しかし、個体差をみることが必要

EPA,DHAを摂るべき人

炎症体質の人(アトピーも)
血液どろどろの人
うつ病、副腎疲労
もちろん健康増進にかかせない

トランス脂肪酸について

安価なコーン油、大豆油に水素を添加して安定性を高めたもの。
⇒酸化しにくく、長期保存に向く

トランス脂肪酸の悪影響

コレステロール代謝

 コレステロール

 胆汁酸

 ステロイドホルモン

脂質の消化吸収と利用

消化吸収代謝
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https://t-urso.jp/mechanism/01/

サプリメントと油の選び方

サプリメントの選び方

酸化していないものを選ぶ
重金属のチェックをしているものを選ぶ

油の選び方

脂肪酸の組成と微量成分、そして製法、原料をチェックする。

ω6は体に必要な油(炎症を起こすことでけがを直してくれる)
現代人は多すぎて、炎症が起こりすぎてる。
摂りすぎることで妊娠にも影響

サラダにかける不飽和脂肪酸

αリノレン酸とEPAの使い分け

加熱調理に飽和脂肪酸、一家不飽和脂肪酸

エネルギーとしての注さ脂肪酸

避けるべき油

油は抽出物で濃縮しており、天然物ではない。
微量成分の過剰摂取に注意が必要。

キャノーラ 

カナダ産、日本の油で一番多い、GMO,有害事象++
在来の菜種にはエルカ酸とグルコシノレートという有害物質が
あるが、この菜種を品種改良または遺伝子組み換えしたものが
キャノーラ種である。日本に輸入されるキャノーラ種はほとん
どGMO(遺伝子組み換え作物)である。そして、キャノーラ油は
基礎研究では有害事象の報告がある

パーム トランス脂肪酸からの移行、有害事象+、加工食品にはいってる

サラダ油

リノール酸多い
微量成分
トランス多い
脂質か酸化、アルデヒドの問題